ヤルサグンバ(Yarsagumba)とは
ヤルサグンバ(冬虫夏草、学名:Ophiocordyceps sinensis)は、ヒマラヤ高地に生息するガの幼虫に寄生する菌類です。ネパールでは「ヒマラヤの金(Himalayan Gold)」とも呼ばれ、非常に高い経済価値を持つ天然資源として知られています。標高3,500~5,500mの高山草原に自生し、特にネパール、中国、インドのヒマラヤ地域で採取されます。

採取される地域
ネパールでは主に以下の地域で採取されています。
Dolpa District Mugu District Humla District Jumla District Manang District Bajhang District Darchula District
特にドルパ郡とムグ郡はネパール最大級の産地として有名です。

採取できる時期
採取時期は毎年5月下旬から7月上旬にかけてです。
雪解け後の短い期間だけ地表に黒褐色の子実体(菌の部分)が現れるため、この時期になると数千人の採取者が高山へ入り、数週間にわたって採集を行います。最盛期は5~6月です。

価格(2025~2026年頃の相場)
品質やサイズによって異なりますが、一般的な取引価格は次のとおりです。
取引段階 価格
採取者への買取価格 1個あたり600~1,000ネパールルピー
産地卸売価格 約160万~230万ルピー/kg
カトマンズ市場価格 約200万~300万ルピー/kg
国際市場価格 約20,000~50,000米ドル/kg
最高品質のものは1kgあたり300万ネパールルピーを超えることもあり、重量あたりでは金より高値で取引される場合があります。
どこで販売されるのか
採取されたヤルサグンバは地元の仲買人に売られた後、主に以下の市場へ集荷されます。
Asan Bazaar Indra Chowk Kalimati New Baneshwor Nepalgunj
その後、中国や香港などの漢方薬市場へ輸出されます。
ヤルサグンバの役目・利用目的
ヤルサグンバは伝統的に高級漢方薬として利用されており、特に中国医学やチベット医学では数百年にわたり珍重されてきました。
主な用途としては、
滋養強壮
疲労回復
体力増強
高山病からの回復補助
呼吸器機能のサポート
腎機能の補助
免疫機能の維持
加齢に伴う体力低下への利用などが挙げられます。
また、「天然の活力剤」として扱われることもあり、高所得者層向けの健康食品や漢方薬の原料として高値で取引されています。
ただし、これらの効能の中には伝統的な利用経験に基づくものも多く、すべてが現代医学によって十分に証明されているわけではありません。医薬品ではなく、健康補助素材として利用されることが一般的です。
ネパール経済への重要性
ヤルサグンバはネパールの山岳地域における最重要換金資源の一つです。特にドルパやムグなどの高地では、1か月ほどの採取期間に得る収入が家庭の年間所得の大部分を占めることもあります。その一方で、乱獲や気候変動による資源減少が懸念されており、近年は持続可能な採取方法や資源保護の取り組みが進められています。